舞台「奇子」水戸プレビュー公演初日感想(後半ネタバレあり)
舞台「奇子」水戸プレビュー公演の初日昼公演を観てきました〜!
元々の予定にはなかったのですが、色々あって当日券で観れました。
電話の履歴見たら135回かけて、受付開始15分後に繋がったみたいです。
とはいえ必死にかけまくったというよりは、開始からぼけーっとポチポチ通話ボタンを押してただけ。
「当日券は電話受付」っていうとハードル高く感じますが、意外と取れるもんなんですね…余裕ある方はぜひチャレンジしてみてください!
全体の感想(ネタバレ控えめ)としては…
ストーリーはオチまでほぼ原作通りですが、全体的にかなりスッキリ綺麗にまとまってます。
結構ざっくり大胆にカットしてる部分もありますが、焦点を合わせたい部分がはっきりしてる感じで違和感なかったです。
上演時間は1時間45分と短めですが、中身は濃密で物足りなさなど全くありません。
原作はざっくり読んでストーリーを把握しておくと、観ていて状況がわかりやすいです。
が、読まなくても問題なく理解できるようにはなっているので、無理に読む必要もないです。
漫画よりも諸々の表現がマイルド(抽象的)になっているため、直接的なエログロが苦手…という方も問題なく鑑賞できる作品になっています。(歌劇ライチよりは圧倒的にマイルド!)
あと注意事項としては、冒頭に突然大きな音が鳴るシーンがあります。
大きな音が特別苦手という人は、最初は少し構えておいたほうがよさそうです。結構いきなりなのでびっくりしてしまうかも。
初日の初回ということもあり、これから上演回数を重ねることでさらに良くなっていきそうな作品だなと思いました。
千秋楽まで怪我なく、みなさん全員で素晴らしい公演を積み重ねていってほしいです!
そして以下、いつも通り推し(味方良介)中心のネタバレ満載レポです!
推しの声が良い…(毎回言ってる)
いやもう毎回、毎回言ってますが推しの声がいいんですよ…
最初のシーンで爆発が起こってから、暗闇で各人物の声が聞こえ始めるんですが、
推しの声、本当にわかりやすい…
めちゃくちゃ安心できますね。あー推し生きてるから大丈夫だわって思う。
味方良介の声は味方良介以外にあり得ないって声してるのですぐ聞き分けられるようになりますよ!君も覚えて味方良介の声ソムリエになろう!(実用性ゼロ)
原作通りではないけど似合ってる&しっくりくるビジュアル
推しが演じる「下田波奈夫」は漫画の原作通りとは言い難いビジュアルです。
なんせ髪型が黒髪短髪(現在撮影中のドラマ「教場」のため)。原作では明るい色でふんわりとした長めの髪ですから、かなり違っています。
が、なぜか下田波奈夫として違和感はなく、黒髪短髪でも不思議と波奈夫らしい雰囲気に見えました。
衣装は全員が赤を基調にした服になっています。手紙や新聞などの小道具も全て赤色になっていて、舞台らしい演出といえますね。
波奈夫の服は真っ赤というよりは赤茶色ベースの服装でした。赤茶色というか赤褐色というか…この色がね、素晴らしいんですよ。
何が素晴らしいって日焼けが目立たないんです!
「教場」の撮影で焼けたであろう日焼け肌が!赤褐色の上着やベージュのシャツと合わせることで目立ちにくくなっている!
なんという大勝利すぎる衣装…ありがとうございます…
仁朗(五関さん)や伺朗(三津谷さん)との対話シーン多め
下田波奈夫は天外家の外部にいる人間なので、内部の人間が過去を説明する相手として波奈夫が一番使いやすい構図になります。
なので、五関さん演じる仁朗や三津谷さん演じる伺朗との対話シーンは多いです。
ただの対話だけでなく、中には「仁朗に与えられたスパイ司令を読み上げる」という役割のシーンもあります。
これがまた良いんですよね…坦々と読み上げてるんだけど妙に引き込まれるし、声が心地いい…延々聴いてられる…
奇子との出会いのシーンがめちゃくちゃ爽やか好青年
奇子と波奈夫が出会うシーン!「いやもう…マリウス(レミゼラブル)じゃん…」って思っちゃいましたね。
めちゃくちゃに爽やか好青年の登場で、これは奇子も第一印象で好きになるだろうな〜という説得力がありました。
そして「下田波奈夫」なんてふざけた名前なのに、味方さんが名乗ると何故かものすごく美しい名前みたいに聴こえるんですよ。
冷静に考えれば「いや、下駄で鼻緒って!」と普通思うじゃないですか。クスッと笑えるような自己紹介になっちゃっておかしくはない名前ですよ。
なのに妙に美しく聴こえる…何故なのか…アマゾンの奥地に向かうしかない…
奇子に対する態度・対応の違い
見た目だけでなく、波奈夫の奇子に対する態度や対応についても原作との違いを感じました。
というのも、奇子に抱き着かれてもきちんと毎回自分から引き離す(そして「気を付け」させる)、キス(これは全員無いんですが)や性的な描写もない、あくまで「保護者」を名乗る…など、原作よりも奇子との関係がかなりキレイに、紳士的に描かれているんじゃないかと。
まあその「キレイ」な関係性がより一層、波奈夫という人間をエゴイスティックに見せているようにも思えるのですが…
その辺りはまた、大阪公演後に改めてまとめられたらと思います。
仁朗を殺してしまったと思い込んで油断を突かれる
これは原作にはない…というか、コマとコマの間の補完と言えるシーンなのですが…
仁朗と波奈夫が殴り合いになるシーンです。
原作では
殴り合い→波奈夫「奇子はぼくのものだ!!だれにもわたしやしない」→取っ組み合いになり仁朗の首を絞める→仁朗が死にそうになり「げっ」という表情→次のコマでは波奈夫が倒れ、仁朗が立っている
という流れなんですね。
舞台では確か、
取っ組み合いになり仁朗の首を絞める→波奈夫「奇子はぼくのものだ!!だれにもわたしやしない」→仁朗が動かなくなる→殺してしまった!?と思い込んだ波奈夫、自らの震える両手を見つめ呆然と立ち上がる→生きていた仁朗に反撃を食らう
という流れなんです。
この「殺してしまった!?」って時の波奈夫は原作にはないシーンなんですが、これが物凄く…波奈夫らしいですよね…!!
もう首絞めながら「奇子は僕のものだ」って言っちゃうあたりから、もうそれ確実に殺意あるやつじゃん!?お前ーっ!ってなるんですけど!
うわっ殺っちゃった!って気付いてから呆然と両手を見て、仁朗から完全に目を逸らしちゃうとこ!お前!!そういうとこ!!そういうとこだぞ波奈夫ーっ!!!
お前これまで自分が善良で罪のない清い人間だってこと全く疑わなかったんだろ!波奈夫ーっ!!
そんで完全に油断を突かれて反撃されるんだから…本当そういうとこだぞ!!!(好き)
自分で自分に目隠しして仁王立ち
伺朗のタオルを取って自分に目隠しするシーンもね、好きですね…なんでもないように自分でキュって目隠ししてからの仁王立ち。
「バーン!」とか「ドーン!」って描き文字が背景に見えるような…見事な仁王立ち…このシーン、原作では仁王立ちなんて全くしてないですからね。
ここはもう完全に…「「「味方良介」」」って感じだな…
波奈夫、最期のセリフ
救出隊が窖を掘り当ててからの波奈夫の最期の言葉、いいですよね…言い方にどこかあどけなさ、子供っぽさがあって。
一見優秀な好青年なんだけど、本当はただ大人ぶってただけの、背伸びした子供だったのかな、なんて思わせるような。
いやーよかった。早くまた聴きたいな…
もちろんほかのキャストの皆さまも大変素晴らしかったです!
主演の五関さんもいい声質してますよね。すごく好みです!
ただ舞台役者としてはもう少し芯のある声だとさらに好みだなーと思いました。もう少し太く通る声だったら…!
アクションシーンもめっちゃカッコよかったです!もっと見たかったなー
三津谷さんはお久しぶりです!って感じですね。前見たのは確かアマンダちゃんでしたが…懐かしいな…
泥臭い、熱い芝居が似合う役者さんになったなーと思います。今後も楽しみ。
あともちろん駒井さんの奇子は素晴らしいですね!めちゃくちゃ美しい…特に足が綺麗で見惚れる…
奇子として全くブレがないし、この物語の柱として凛と立っている感じがしました。
キャスト全員のバランスが本当にいい塩梅で、今後も確実にもっと良くなっていくんだろうなと思います。
私の次回観劇は大阪公演の予定なので、その時どのように変化しているのかめちゃくちゃ期待してます!
劇場による違いもどう影響してくるのか…いやー楽しみ!